末武造園土木です
何らかの都合で支障となった樹木の運命は、「伐採処分」か「移植(植え替え)」です。小さな木々は残念ながら処分されてしまうことが多いですが、特別な思い入れのある樹木は「移植」という手段で生き守られることがあります。
これは、道路拡張工事で支障となったシラカシの移植作業のようすです。
この工事は初冬(12月)に行っていますが、移植作業に先立って、公共工事の発注直後に根の切り廻しを(数ヶ月前に)行っています。
根株の周りは重機(バックホウ、0.4 m3)で全周を掘り回ります。この際、粗く割れたように切れてしまった根は、鋭利な刃物やハサミ等で切りなおします。きれいな切り口からは、次の発根が早いのです。
幹の太さにあった直径と深さに掘り回ることができたら、麻製の根巻きテープで根鉢の周りを何重にも巻きます。でもこれは、根巻きの第一段階。これからが大変ですよ。
根株周りを根巻きテープで巻いたのち、麻製ロープを使って根鉢を何重にも巻き締めます。これはクレーンで吊ったときや運搬時に根鉢が崩れてしまわないようにするため。根鉢が緩むと水分等を吸収するための「吸収根」が切れてしまい、樹種によっては移植後の活着率が極端に悪くなってしまいます。
今回はトラック運搬無しの、クレーン吊り移動のみなので、安全に運搬(吊り移動)可能な程度に、比較的簡単な巻き締めで済ませていますが、トラック運搬が必要な場合は、根巻きテープが見えなくなるくらいに縄で巻き締めますよ。
移植先の穴は、あらかじめ掘っておきます。
その際に、穴の底部には緩い山状に良質土を盛り上げておきます。
これは、植えた後に土を掛けても根鉢の底部には土を詰めることができないことから、あらかじめ底部に十分接する分の土を盛って充填可能にしておくためです。
これも、移植の活着率を向上するためのコツです。
今回の樹木は「シラカシ」。冬の休眠木とはいえ、他の樹種と比べても材質の重量が重い種類ですし、さすがに太く根鉢も大きく取ってあるため、重量は相当なものです。
吊りあげ時に計測してもらうと「16トン」。
なかなかの重量です。
所定の場所に、立て起しを見ながらバランス良く植えた後は、直ちに土で埋めていきます。
土で埋めるといっても、植穴の深さは1m50cmも。突いた程度では底部まで十分に詰まりません。そんな時は水を使って土を流し込みながら底部まで送り込みます。
土の液性限界を越えさせて、流動性を持たせた土を突きながら根鉢の奥へと送り込みます。
この方法は、どんな中低木にも適用可能ですよ。
根鉢の周りには「水鉢」という水がたまるような土手を廻し設けます。
また風等で揺さぶられないよう、丸太(今回は6m)で八ッ掛丸太支柱を組み付けて完了です。
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