末武造園土木です
外界と接している樹皮は、外部からの温度変化や雨・乾燥、軽い衝撃から形成層や樹木全体を保護しています。時によっては何らかの強い力で樹皮が剥がれる障害を受けてしまうことも。でも、障害を受けても健康な場合は樹木本来の力で回復します。
回復プロセスを人間がコントロールすることはできませんが、回復が順調に始まるよう手助けすることは可能です。
交通事故によって根元部の樹皮がはがれてしまったものです。結構大きくはがれましたね。
樹勢が強ければ枯損の可能性は少ないですが、それでも土に近い部分は腐朽の発生しやすい場所。
適切な処置が必要です。
樹皮の、引きちぎられた端部は鋭利な刃物で切り直しを行い平滑に仕上げます。
その後、腐朽を防ぐため、雨水等が木質部に直接当らないよう、硬化後被膜の堅い、腐朽防止用塗布剤をの塗って、腐朽から保護します。
但し、塗ったからといって腐朽しないわけではありません。やはり樹勢が強くないと肝心のカルス巻き込みが発達しません。
傷口が目立つので、麻製の幹巻きテープで撒いて隠しておきます。
さぁこの処置でどの程度まで押さえられるか・・・
処置から2年経過後。
樹皮はずいぶんと巻きこんできました。受傷時は地面と木質部が直接触れていて腐朽の可能性が高かったのですが、防御層の力が勝って地面よりもカルス巻き込みが上部へと来ています。
処置が良かったというよりも、樹勢が強かったことに助けられました。
ずいぶんと傷口が小さくなってきました。
速度から判断すると、あと2年ないし3年でほぼ巻き込みが完了することでしょう。
と楽しみにしていたら、道路拡張工事の交差点改良に伴って伐採されてしまいました...残念
建築屋さんからSOS、「アカマツの枝を重機で引っかけて、幹が剥がれちゃった。何とかして!」
場所を聞いてすぐ判るほど、あぁあそこのアカマツね。いやぁ伺う前から知ってるほど立派なアカマツ。まずいなぁ...
あぁあぁ、ずいぶん遣っちゃいましたねぇ。外周の半分以上は樹皮が残ってません。直径7〜10cmの枝を、長さ20cm以上も傷つけてますから、これはなかなか大変。
残る半分(以下)の部分も、重機で引っかけたときに捻じれてしまって、水分や養分等の管が無数に走る形成層にいくらかの内部損傷を受けているだろうと思われます。
バリバリに割れたよう。それにしても随分と強く当てましたねぇ。
きれいに剥がれてしまって、木質部のひねり模様までくっきりと見えるほど。。内部からは樹脂(マツヤニ)がしみ出てきています。
人によっては「諦めたほうが...」と言いそうなほど。さぁどうしましょうねぇ...
これだけ剥がれたら、この部分よりも先の枝が枯れてしまっても不思議が無いくらい。期待ができるのはこのアカマツの樹勢が一見して強いこと。あまり変な資材を使って腐朽させてしまっては元も子もないので、今回は割れて荒れた部分をきれいに切りなおして、露出してしまった木質部と形成層断面には腐朽防止のためにチオファネートメチル剤(トップジンMペースト剤)を塗布して終わり。
トップジンMペーストの色は鮮やかなカラシ色なので目立ちすぎ。景観松には全くの不似合いですから、一手間かけて調整。ちょっと黒くなりすぎましたが(^^ゞ
折れた部分を露出したままでは見た目に痛々しいのと、お客さんも不安になります。
縄(麻縄)をキツく巻き締めて傷口を見えないように、またこれでも結構強度が上がるものなので、補強の意味も兼ねて。
本当なら添木や頬杖支柱を施すのが良いのでしょうけど、場所的に、物理的に無理があるんです。
往々にして厄介なところを傷付けてしまうもんなんですねぇ。
梅雨時を超え、猛暑の間夏も越え、秋にはどこかの方が剪定され、また冬に入っても枝の先の先まで松葉はきちんと生きてます。やれやれ、何とか持ちこたえてくれそうです。
次の春の芽出しが枝先まで100%なら、もう安心でしょう。
そのうち、写真撮ってきますね。
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