末武造園土木です
樹木の生育不良の原因の多くは、根系の発達障害。それは踏圧(踏み固め)などによる根系の伸長阻害、土性不良などによる排水不良、成長に従って不足する有効土層など。
【植栽基盤診断士】と【岐阜県緑の博士(グリーンドクター)】が、適切に診断して、適切な改善案を策定して、適切な処置を施します。
とある工場広場の、芝生広場。
その中に「サツキツツジ」が植えられていますが、成長がおもわしくないのです。
向かって奥、建物側は何とか生育しているのですが、駐車場手前側は殆ど「枯損」、枯れてしまっています。
枯れてしまった部分を、新しいサツキツツジに植え替えてほしいというご依頼ですが...
植え替えても、枯れた原因を取り除かなければ、また枯れてしまうであろうことは想像できます。
なので、植え替え作業に先立って、「枯れた原因の調査」と「その原因の除去」を行います。
もちろん現地を見ただけで、枯れた主原因は大体想像が付くものですが、一応検証を行います。
サツキツツジのすぐ隣、芝地に直径10cm程度×深さ20cmほどの小さな穴を開けてみました。
ものの5分程度で、その穴には水が溢れんばかりに溜まりました。
「過湿害」ですね。
一般に敷地は、平面もしくは建物から敷地外側方向へ水勾配(傾斜)が付いています。
そのため、建物近くの土壌はそれほど過湿になっていないのですが、一方敷地の外側に近いほうの土壌はその勾配に沿って水が浸透してくるため、過湿となりやすいのです。
今回の場所は、勾配の下端が相当厚いコンクリート舗装で止められていて、その結果として常に水密が高いまま維持されていました。
もう一つの問題点は、芝がサツキツツジの根もとへ進入していること。
問題のポイントとなるのは、土中酸素と肥料分。
芝とサツキツツジの根が競合し、芝より根が深いサツキツツジは、地表面からもたらされる成長に不可欠な酸素が欠乏気味になり、また地表面から浸透する肥料分等がサツキツツジへ十分に供給されなくなり、衰弱の原因ともなっています。
芝地からサツキツツジへ流れ込む余剰水を流動水に変えて、場外へ排水します。
一般的な植栽方法で採用する、サツキツツジの下に排水層を作成する方法では、芝地からサツキツツジ側への余剰水流入を止めることはできません。
今回は、芝地とサツキツツジの間に、遮断層としての排水層を作り、余剰水を誘導して水密を低下させます。
排水層は川砂利という、粗くて粒のそろった砂利を、吸い出し防止材という不織布を使ってパイプ状に敷均します。
土壌の断面から染み出た余剰水は、不織布を通り抜けて川砂利の層に入り、重力水として下がります。
その下がった水位線は、植樹するサツキツツジの根の下端よりも深い地下450mm。
下った水は勾配によって場外側の排水桝へと誘導されますし、もちろん重力に逆らってサツキツツジの根の高さへの土壌へ戻ることはありません。
さてさて、排水層が地上部に丸見えでは、あまり見た目の良いものではありません。
排水層上部にも不織布を敷き、約10cmの植栽用土を敷きならします。
更にその上に、既存の芝地と同じ「高麗芝」を張ります。
これで地表面からは「排水層」を作ったことが判らないよう、スッキリと仕上がります。
また排水とは別の問題も処置しておきます。
芝の、サツキツツジ根元への進入を防いでおきます。
芝がサツキツツジの根もとへ進入するのを防ぐために、プラスチックのエッジ(板)を差し込んでおきます。
芝の根はこの板を通ることはありませんし、板の上を越えるランナー(芝の茎)は、草引きの際にでも切っておけば大丈夫です。
排水層の流末には、排水桝を設置して、そこへ余剰水が流れ込むようにします。
普通の排水の場合は、排水桝の底部にはコンクリートを敷き均して水が地中へ染み込まないように処置しますが、今回は自然の降雨による水で、かつ流入量も少ないことから、排水桝の底部はコンクリートを敷き均さず、地中へ染みていって自然消滅するようにしています。
但し、まず無いこととは思いますが、あまりに流入量が多いときは、写真左の排水管を伝って、場外の側溝へ排水されるようになってます。
排水層を設置して、エッジを差し込んで、芝を張って、それだけの処置を済ませて初めて、お客さんの要望の「新しいサツキツツジ」を植えて完了。
写真は、作業から8カ月後。
芝地に穴を開けても水が溢れることも染み出ることもなくなりました。
雨の時期も越えて、順調に育ってます。
若干、踏み荒らしで枝が折れちゃってますが...
施工図です。
図面右側から浸透してくる余剰水はサツキツツジの根もとへ至る前に排水層に取り込まれ、流末の桝へと誘導されます。これで過湿状態が解消されているというわけです。
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