昨日の釣りの帰りに、ちょっとお買い物に立ち寄りました。
高山市清見町大原464、中澤豆腐店さん。
(商品パッケージの記述は「中沢豆腐店」です)
ただの田舎の豆腐屋さんと思いきや...
街道沿いに出されている「とうふ」と書かれたのぼりが昨年頃からか気になってましたので、午後も3時過ぎなのでどうかな?と思いながら立ち寄らさせて頂きました。
玄関から「こんにちは」。玄関脇にすごく立派なお雛様の段飾りが。こちらは旧暦なんですね。お伺いした日(3月29日)は丁度、旧暦の「桃の節句」。
となりの建物から店主さんが出てこられました。「まだありますか?」に、「ありますよ」と。
前を通るせせらぎ街道にちなんだ「せせらぎとうふ」(木綿豆腐)、巻き簾で締めて煮る飛騨地方ならではの「こもとうふ」と「味付けこもとうふ」、3種類がお店に。
せっかくなので、各1つづつ頂きました。
パン屋さんやカフェなど、最近は「古民家」&「田舎」で創業される方が多いので、このお豆腐屋さんもかな?と思っていたのですが、いえいえとんでもない! れっきとした老舗です。
創業昭和31年。もう50年以上もこの地でお豆腐屋さんなんです。
お店の3品を頂いてから、ご主人さんと少しお話をさせていただきました。
その昔、林業が盛んだった昭和30年~40年代は、多くの林業従事者さんが一家でこの地に住みながら、切り出しや炭焼きなどで生計を立てられていたそうです。
そして、今では廃校になってしまったこの「大原地区」の小学校は、当時100名以上の生徒さんが居られた規模の学校だったそうです。
本当に山深いこの地には、特に冬場は主要タンパク源を地域外から仕入れることが困難だったことなどから、比較的保存しやすい大豆を使って学校の子どもさんの給食に必要なお味噌汁用の豆腐を作ること、また住まわれている方々のお味噌汁の具となるお豆腐を作ること、つまりお豆腐を作ることで地域の方々へタンパク源を供給する、それが中澤豆腐店さんの成り立ちの大きなところだそうです。
釣りで源流や支流奥深くに入り込んでいくと、突如石段や石組みの宅地や畑の遺構らしきものが現れる所を目にします。
なるほど、その昔は今からは想像できないほどの多くの作業員さんが山の切り出しなどの手入れに入って居られたのですね。
その方々のタンパク源供給の一端を担っていたのが、中澤豆腐店さんなのです。
お買い物でお伺いしたお豆腐屋さんで、この地区の昔の様子や成り立ち、また商品は必要性から作られ愛されるということを教えていただけました。
そうそう、肝心な「お豆腐」のこと。
「せせらぎとうふ」(木綿豆腐)は固すぎず、スーパーの木綿とは全く違う素朴な木綿豆腐ならではの舌触りで、「お豆腐を食べた!」という満足感があります。そのままヤッコで頂きました。
「こもとうふ」は、普通は巣(細かい穴)が入っているものが多いですが、中澤さんのこもとうふは「巣」が殆どありません。すごく高密度。これなら鍋物やすき焼きにも煮崩れせずに十分美味しくいただけます。
「味付けこもとうふ」の味付けは薄味、おかげで食べ飽きない朝昼晩どのシーンでも頂ける一品です。
釣りの帰りには、また寄らせて頂きます(^^)