今日は、郡上市白鳥町石徹白『白山中居神社』にそびえる神社のスギの、樹勢回復のための根系調査に参加させて頂きました。
(金幣社・銀幣社・白幣社の区分って、岐阜県だけだそうですね)
先月に調査した国の特別天然記念物『石徹白大杉』に次いでの樹勢調査です。
今回の調査は、岐阜大学の林教授をはじめ、3名の樹木医さんと、恐縮ながら同席させていただきました。
今回の調査対象は県の天然記念物なので、勝手には調査できません。
今回は郡上市教育委員会で選任された、調査チームの一員としての参加です。
良い機会を与えて頂きまして、ありがとうございます。
もちろん『手弁当』での参加です。
樹高は30mをゆうに超します。
その頂部にはすでに葉が見えない状態。
健全に水が上がっていかない状態と判断できます。
このような場合、根系に障害がある場合が多いのです。
午前中は、対象木『A』の根系調査。
地面をほぐして緩め、対象範囲の根を手作業で掘り起こします。
これによって、この方向への根系の伸長状況や、深度による根系の伸長状況を調査します。
ほんとうに骨の折れる作業です(^^;)
対象木『A』では、表層15~20cmまでに吸収根が集中しています。
それより深い層は湿性が強く、軽微な還元土壌層となり、多少の支持根は見られますが、生きている吸収根は「疎」で、殆どが枯死根でした。
午後からは対象木『B』。
神社参道脇の調査です。
これがかなり問題。
枝張りは枯損が進んでます。
この枝が落ちてきて、頭に当たろうものなら・・・なんて考えてしまいます。
いえいえ、普段は落ちてくることはないと思いますけどね。
こちらもひたすら手作業で、杉の根を探ります。
ただ、表層にはほとんど見られず、石畳の下に少量の吸収根が見られます。
石畳の一部をはがしてみたところ、かなり太い枯死根。
支持根のような太さで、直径の推定25cmほど。
湿性は相当強く、法面上部からの湧水がありますが、滞留水ではないようです。
ただ、それよりもこの根が枯れてしまった原因が何より気にかかります。
石畳工事の際に、あまり丁寧には扱われてない可能性は否定できません。
今後、石畳の件や湧水の件を改良することとなるのでしょう。
処置にはもう少し具体的な検討が必要となると思います。
千年以上であろう健全に生育してきたスギが、ここ十数年で枯損が進んだということは、何より人為的な環境操作が樹勢の弱体化に繋がっていると考えてよいと思います。
とんでもない古木ですけど、きっとこの風景は、健全に保つことができれば、私の孫はもちろん曾孫玄孫その次々々までも、同じ風景を見せられるのです。
樹木の不具合を『治す』ことは、人間にはできません。
私たちができることは、樹木のもつ回復力を十分に引き出してやることだけです。
それが私たちの負担すべき業務の一端と思っています。